

JAZZcolle. Presents 「Alice」
沢山傷ついてきた大人に贈る物語
2025年1月25日(土)
ファミリー公演 13:00開場/13:30開演
1st公演 16:00開場/16:30開演
2025年1月26日(日)
2nd公演 11:30開場/12:00開演
3rd公演 15:00開場/15:30開演
※公演時間は90分を予定しています
愛知県芸術劇場 小ホール
名古屋市東区東桜一丁目13番2号

物語
朝が来る。
私は起きて、顔を洗い歯を磨く、今日もいつものスーツにパンプス、鞄は3年変えてない。
アクセサリーはいつの間にか着けなくなって、どこに仕舞ったかわからない。
髪は頭が痛くならない程度に纏めてくくり、水筒にお茶を入れる。
職場で何かの折に貰ったお茶で、特段好きじゃないけど温かければなんでもいい。
どうせ夜にしか帰って来ないからカーテンは閉めっぱなしで問題無し。
はぁ。
レールに乗って職場に飲み込まれていく、アニメーションでよく見る表現。
一度飲み込まれれば時間になるまでゲートは開かない。
自分で歩いている訳じゃない、入社と同時に足にプログラムをされたらしい。
自分の意識とは関係なく、今日も自分のデスクに座る。
「都築さん、これお願い」
窓の前にいる上司の顔が、逆光でぼんやり見える。
あれ、上司ってどんな顔だっけ?
チェシャ猫みたいに尻尾で消したのか。
あの独特なニタっとした笑顔を思い出し楽しくなる。
「都築さん、また“白昼夢”モードだね。せめて普通に仕事して欲しいなあ。」
自分の後ろに現われた吹き出しにハッとして、私は手元のPCに目を戻す。
チェシャ猫は消えて、上司はいつもの顔になる。
「ここは私の世界じゃない。」
疲れた。
いつの間にか、私の目から一日エネルギーを吸ったパソコンは巨大化し、コードの数も太さも増大中。
パソコンからゴムが伸びてありさの皮膚に吸い付いてくる。
帰りたい気持ちと、帰らせたくないパソコンで我慢比べ。今日こそ負けない。
右左と忙しなく移動する、コート集団を掻き分けながら、私は一歩一歩目的地に向かう。
私だけの世界、私だけの幸せ、私だけの本当。
目的地のカフェに到着し、いつもの席に、いつもの紅茶。
自分だけの世界を広げて足を踏み入れる。
ここは空気が違う。
ハーブティーのような、森のような、お風呂のような、おやつのクッキーのような。
ありさは少しでも多く肺に空気を送る。
ここの住人は気がいい人ばかり。自然と歩みが軽くなる。
起きたくない
「朝起きたくないよね、僕みたいにミノムシになればいいのに」
メイクが面倒
「顔を付け替えたら早いよ」
服なんて毎日一緒でいい
「スーツもパジャマも一緒の服を着ればいいよ」
足が重い
「ティータイムしながら歩いたら楽しいよね」
仕事したくない
「文字を消してったらいいよね」
上司が怖い
「可愛いオブジェにしちゃえばいい」
棘のある同僚の言葉が辛い
「口が鳥になってさえずっていればいい」
遠くから、大きな時計を背負った人形たちが、大きな声で叫んでいる。
何て言ってるんだろう…。
時計に近づきながら声に耳を傾ける。
「お客様。お客様。」
「こちらはお下げしてもよろしいでしょうか?」
「お客様、どうかされましたか?」
ありさは開いていた本を急いで閉じて、頭を何回も下げて
「お願いします。」
と小さな声で呟いた。

人物紹介
― 主人公 都築ありさ ―
小さい頃から「不思議の国のアリス」が大好きで、いつか自分にも白ウサギが来ると信じていた。小学校に通い始めると、アリスなんていない、白ウサギなんていないと笑われ驚くが、それでもいつか自分には来てくれるはずと、密かに思い続けていた。夢見がちなことばかり言うありさは、どのクラスでも馴染めない。頑張って笑っても、頑張って話をしても、いつの間にか疎まれてしまう。担任の先生にも「頑張りなさい」と言われ続け、どうしたらいいかわからないまま中学生になり、高校生になり、いつの間にか好きな本の話も、自分の気持ちを話すことも怖くなり、ただ「わたしは何故こんな性格で生まれてきたんだろう」という悩みだけが深くなっていった。大人と言われる年齢になり、この仕事がやりたい!という気持ちも沸かないまま、とりあえず内定が出た会社に就職をした。毎日が失敗の連続で、案の定会社でも浮いた存在に…。せめてこれ以上嫌な気持ちにさせないように、周囲への笑顔だけは忘れないようにしているが、自分にはいったい何の意味があるのか、このままの自分でいいのか思い悩んでいる。
(都築かりん)
― 会社の先輩 高津先輩・今成先輩 ―
会社のベテランの先輩。様々な社内情報に精通しており、給湯室は2人のゴシップ部屋。
ありさにも厳しそうに見えるが…
(高津彩・今成ふくろう)
― 白ウサギ&チェシャ猫 ―
ありさが気付かないうちにこっそりやってきては、現実に引き戻すように時計を鳴らす
何故ありさを妄想の世界から追い出そうとするのか、2人の目的は何のなのか
(利瑠・瑞希-Mizuki-)
― ありさのトランプ兵 ―
ありさの妄想から生み出されるトランプ兵たち
少しでもありさの哀しみが減るように、いやな上司や仕事から守ってくれる
ありさが命令すればどんなことでもやってくれる、ありさだけの強い味方
― クイーン ―
ありさの世界の女王たち
美しく妖艶に世界を彩り、ありさのためだけの世界を創り上げる
(原田初音・鯉江郁実・川本柚希実)
― 薔薇 ―
どんな薔薇も赤の薔薇に変えてしまう
(田中未来)
― 現実の人々 ―
社内の人、お客様、街の忙しそうな人…
どの人もトランプ兵と違い、冷たく、仮面を被っているように見える
誰もありさを見ていないし興味が無い
― 奇妙なお茶会 ―
何がそんなに楽しいのか、それともありさを嘲笑っているのか
― 白の人々 ―
ありさが落ちてきた白の世界の人々
正体はわからないが、彼女たちは語りかける
(加藤里美・高津彩・須原麻衣・今成ふくろう・羽田真友)

「Alice」に込めた思い
JAZZcolle.のメンバーは1年中舞台ばかりやっています。
正直、本番直前なんて仕事そっちのけで頭の中は舞台ばかり。
小さい頃や学生の時は「凄いね、頑張ってるね!」だったのに、社会人になると「まだダンスなんてやってるの?!」「変わってるね」「なんか生活が違い過ぎて話が合わない…」なんて言われるように。
30代にもなると「そんなんじゃ結婚できないよ」「子供どうするの」「将来踊れなくなるのにどうするの?」なんて言葉が降ってきて、言い返す程の実力も実績も無い自分に落ち込んだり。
でも、身体中からダンスが好き、舞台を好きが溢れているメンバーを見ていると、「生きる意味とは何なのか」の答えに少し近づけるような気がします。
【 2025年1月 演出家から出演者へのメッセージ 一部抜粋 】
普段毒だらけで、どけー!とか言ってますが、私の作品の源は常にジャズコレメンバーです
なので、私の脚本だし演出なんですが、ずっと一緒に舞台に挑んできたみんなが生み出してくれた作品だと思っています
生まれた意味なんてわかんないんですよ
なんでこの性格で生まれたかもわからないし、生きる価値があるかもわからないです
でも、みんなと舞台を作っていくって決めてから、私の人生は変わりました
沢山のものを貰ってきました
それをどうみんなに返していくのか、試行錯誤で全然うまくいかないですが、それをやらなきゃじゃなくて心からやりたいと思える人たちと出会えて、私はとんでもなく幸せでラッキーなんだと思います
アリスはみんなに向けたメッセージでもあるし、みんなの素敵なところをメッセージとして発信したらどうなるだろうと想像して書きました
みんな自体がお客様の白ウサギになれるんじゃないだろうか
絶賛藻掻き中でしんどい期間だと思いますが、自分の素敵なところを忘れないでください
本当に美しいんです
いつも沢山のワクワクと幸せをありがとう

写真・動画のお裾分け
好きなお写真をダウンロードいただけます
動画は視聴にてお楽しみください(画面録画はこっそりどうぞ!)















キャスト
今成ふくろう
上野紗也花
内田渚
柏原瑛里香
加藤里美
河合晴摩
河本愛
川本柚希実
木澤美香
絹田有佳
鯉江郁実
後藤秀行
小山貴子
須原麻衣
高津彩
田中来実
田中未来
都築かりん
夏川康秀
野田千晶
羽田真友
原田初音
久松美樹
三枝利瑠
三國良子
宮地成和
吉村千恵
智美
まり

スタッフ
主催:Dance Company JAZZcolle.
脚本・演出・振付:瑞希-Mizuki-
振付:Marie、sato.、鯉江郁実、原田初音
舞台監督:山下健一郎
照明:兵藤隆之
音響:棚原勇・服部百華
美術:齋藤香織、高津彩、成田松則
衣装:安藤大地、柏原瑛里香、木澤美香、別府奈津希
ヘアメイク:木澤美香、籾山ひろみ
会場運営: 佐分志帆、梛木貴代、鬼頭那帆、泉本沙樹、河合柚咲、柴田奏
写真:森山貴史
デザイン:猪又康平
協賛:あおいろ耳鼻咽喉科(院長 三好晋平)